有名な通信講座を受けたら社会保険労務士の合格率はどこまで上がるのか

通信講座利用者の合格率はわからない?!
社会保険労務士の通信講座を選ぶとき、比較のポイント(着眼点)はいろいろと出てくるでしょう。
教材のよしあしや講師のよしあしも大事ですし、やはり価格はどうしても譲れないポイントでしょう。では、その講座の「合格率」は、どんなものでしょうか?
やはり、その通信講座の受講者の合格率は、すごく気になるポイントではないでしょうか!?
受講生の合格率が、一般の社会保険労務士受験者のそれよりも高いのかどうなのか。高くて当たり前のような気がしますが、きちんと確かめたいものではないでしょうか?
ところが! 困ったことに社会保険労務士の通信講座の合格率はなかなかチェックできません。
公開されていないパターンが多すぎるのです。
その裏に潜むワケに気づいたほうが、講座選びで失敗するリスクから免れることができます
- 社会保険労務士のオススメ通信講座や通学講座、選ぶ際は合格率も大事ですよね?
- 社会保険労務士の通信講座や通学講座、なぜ合格率を公開するところが少ないのか
- その他、あえて合格人数・不合格人数を計算したくない場合
社会保険労務士のオススメ通信講座や通学講座、選ぶ際は合格率も大事ですよね?
社会保険労務士の勉強法といえば? 通学講座や通信講座が常套手段ではないでしょうか。やはりたったひとりで学習するのは至難の業ですし、最近はスマホ等で勉強できるチャンスが増えてとてもお得になっています。通信講座は、通学講座と違ってどこに住んでいても申し込みできますから、いっそう便利ですね!
とにかく便利な通信講座ですが、実際に利用しようと思ったときに誰もが出くわすのが「どこの講座に申し込んだらいいんだろう」という疑問です。少し検索しても、社会保険労務士の通信講座はズラリと出てきます。10社どころではないでしょう。
こうして、社会保険労務士試験を受けたくなった方誰もが経験するのが講座選びの作業です。
- 何万円くらいかかるのか? いや、何十万円かかるのか??
- 何ヶ月くらいで合格できるのか?
- どんなテキストなのか?
- どんな問題集なのか?
- 講義の映像はみられるのか?
- スマホを使えたり、ネット上で勉強できたりするのか?
- どんなサービスがあるのか?
……etc.
講座を選ぶときに、気になる点はこのようにたくさんあるでしょう。とはいえ、この中にはとても重要なポイントが抜けています。つまり……
・申し込んで、最後まで受けたら、本当に合格できるのか?
といっても、こればかりはやってみないとわからないでしょう。
しかし、合格できるのかどうかを探るために、こんなことを考える方もいるはずです。
・申し込んだ人は、どれくらい合格したのか?
これを確かめるには? その通信講座の、前年度の受講者の合格率が判明したら助かりますね?
ところが! 困ったことに、それぞれの通信講座の前回試験の合格率はなかなか確認できません。ほとんどの通信講座が、いや通学講座も含まれますが……過去の受講生が試験本番で、どれくらいの成績になったのか、どこにも書いていません。
各講座のパンフレットのような資料にも、あまり書かれていません。インターネットで検索しようとしたら? もちろん出てくることはあります。しかし、時間をかけて検索してもなかなかデータが出てこないことのほうが圧倒的に多いでしょう。
早い話、社会保険労務士の通信講座・通学講座の合格率は公開されない傾向が強いのです。毎年の合格人数も、同じように伏せられていることが大半を占めているのです。
社会保険労務士の通信講座や通学講座、なぜ合格率を公開するところが少ないのか
社会保険労務士の通信講座や通学講座は、どうして公開してもらえないのでしょうか???
この理由を今から、分析してみましょう。
1.合格人数や合格率を、ちゃんと調査している? していない?
合格率を調べるには、統計をとらないといけませんね。通信講座・通学講座の会社が、自社の受講生の合格率を調べたいなら、試験の結果発表の際にアンケート調査等をやるしかないでしょう。
アンケート調査自体は、そんなに難しい作業ではないでしょう。早い段階で、「結果がわかったら、当社までお知らせください」といったお願いを受講者全員に配布しておけばいいわけです。
しかし、簡単そうに見えながらも、すべての会社がやっているわけではありません。アンケートの発想自体はおそらく簡単でいっせいに配信することもたやすいでしょう。
- 小さな会社の場合は、それなりに負担となる
通信講座は通学講座と比べて、小資本でも立ち上げできるチャンスがあります。このため、通信講座はかなり小さい企業がやっていることもあります。従業員数が少ないと、そこまでやる余裕がなくても不思議ではありません。 - 大きな会社の場合は、不可能ではないものの放置されているケースがありうる
大手の会社であれば資本金も多く、スタッフも多いでしょう。とはいえこのような作業は、優先順位が低くなるでしょう。したがって、後回しにされる可能性は高いです。特に、郵送で結果を返してもらう場合は、集まってきた結果をひとつひとつ手作業で回収しないといけません。受講生が多いとこれはたいへんです。
メール等で結果を報告するシステムであれば、集計は一気に簡単になる可能性があります。ただ、システム化が必要ですし、あえてそこまでしない会社が多いと推定できます。
2.調査を毎年やっていても、それでも公表しない場合もある?
受験者に結果の報告をするように頼んでいる場合なら、ぜひともその結果を詳細に、Webサイトにでも掲載してほしいものです。
もちろん、それを毎年欠かさずやっている会社もあります。あくまでも一部に、ですが。しかし、いちおう調べたのに報告を避けている会社もけっこうあるものと推定できます。
合格率を正確に、堂々と公表しないパターンとして、以下の2通りの解釈が考えられるでしょう。
-
合格者があまり多くない、したがって合格率もイマイチな場合
受験者数に比して合格者が少なければ、合格率が伸びることはありません。残念なことに、そんなに単純ではありません。優れているところも一部に存在するいっぽうで、虚偽のデータを流しているところがあることは否定できないですね。
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合格者があまり多くない、合格率も高くない、そこでガセのデータを引用する場合
これは正直なところ、黙認できる行為ではないでしょう。しかし、公開されたデータが正しいかどうかは、外部の者には確認する手段がありません。
不審な数字になっている場合は、それを見た人がだんだんと疑いを持ちはじめるため、怪しまれない数字を使う傾向が強まっている、そう思わざるを得ません!
※中には、「合格者の集い」といった、受かった受講生だけが出席するイベントを企画し、そのときの写真等を公開することで、合格者数・合格率のデータの裏付けに使っているところもあるはずです。
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受講生が激減している、あるいは当初からかなり少ない
社会保険労務士の通信講座・通学講座は毎年変化しています。同じ会社が、2つ以上のコースを設けることは多いですし、新たに参入する会社も随時見つかります。
開講して間もない場合は当然、申し込む人が少ないため合格者の人数等を調査する意味もあまりないでしょう。
また、売り上げが下がっている講座(早い話、受講者が減っている講座)については? 合格者の人数を正確に書くと、申し込む人が少ないことが世間に知られてイメージが悪化してしまうため、公開を見合わせる可能性が出てきます。
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合格者が増えているという自信がないために、最初から結果報告を求めない
通信講座にしても通学講座にしても、教材の質やカリキュラムの質に自信がない場合なら?
合格者が多いと思えなければ、人数の調査もやる気になれないでしょう。 -
きちんと結果を報告してくれる受講生が少ない
アンケートというものは、記入や申告をお願いしてもやってくれない人がけっこういるものですね。
- 1.合格率が公式に公開されていない講座の合格率を、ある程度チェックできる
- 2.合格率が公式に公開されている講座の合格率が、どれくらい正しいのかチェックできる
- 3.各通信講座の合格率の比較を、ある程度信頼できるデータをもとに行える
3.その他、あえて合格人数・不合格人数を計算したくない場合
以下のようなパターンも、じゅうぶんにあり得るでしょう。
というわけで、合格発表後に結果を返してくれるように頼んでも、結果を律義に返してくれる人が少なかった場合は、信頼のできるデータが手に入りません。そういう結果になれば、次の年度も調査を行おうとはなかなか思えないかもしれません。
さて、合格率を正直に発表していない通信講座や通学講座が少なくないという、どちらかといえばネガティブな事実について説明してしまいましたが……
合格率を確認する方法は、ゼロというわけではありません! 限界はありますが、一部の通信講座の社会保険労務士の合格率を計算する方法を今からご紹介しましょう。
合格率が発表されていない社会保険労務士通信講座の、データを確認する方法がありました!
社会保険労務士だけの話ではありませんが、いろいろな資格の勉強・資格試験の合格を、現在は厚生労働省が国民(失業者やニート等)に向けて推奨しています。なかなか就職できない人がそのチャンスを増やすには、何かのスキルを身に着けることが望ましいですね? そこで、ハローワークでは「教育訓練給付金制度」をだいぶ前から展開しています。
この制度は、指定されたスキルのトレーニングを、指定された教育機関で受ける場合に、その費用をハローワークに支援してもらえるというものですね。社会保険労務士資格もその対象に入っています。そして、一部の通信講座・通学講座は教育訓練給付制度が使えるようになっているのです。
さて、教育訓練給付制度の公式Webサイトでは膨大な資格の検索ができるようになっています。各資格の講座に関する情報も検索できるのですが……ありがたいことに、その講座の受講者の試験の合格率も調べられるようになっているのです!
では、その手順をご説明しましょう。
1.「教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座」の中の検索システムにアクセスする
次のようなページです。
教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座
2.「講座を探したい」を選択する
「利用上の注意」画面に移動します。
3.次の画面に移動する
検索条件を問う画面が表示されます。
4.「分野・資格名から検索」を選択する
次の画面に移動します。
5.条件を選択する
以下の条件を選びましょう。
・「実施方法」→「通信」「eラーニング」
・「地域」→指定なし
・「制度」→「一般教育訓練」
・「分野・資格名」→「社会保険労務士」
6.検索を実行する
検索結果画面が表示されるはずです。
社会保険労務士において、教育訓練給付金制度を採用している通信講座がまとめて表示されます。
7.合格率を知りたい講座を選択する
この場では、フォーサイトを選んでみましょう。
8.講座の選択を行う(「詳細表示」を選択する)
教育訓練給付金制度対象の講座が2種類以上あるところなら、一覧表示されます。
この場では、「社会保険労務士 バリューセット1」を選択してみましょう。
講座情報が表示されます。
9.画面をスクロールさせて、合格率関係のデータを探す
画像のように、平成29年度のデータが出てきました!
肝心の合格率は……
資格取得状況 | 平成29年度 |
---|---|
受講修了者数 | 1,983名 |
資格受験者数 | 1,176名 |
受験率 | 59.3% |
合格者数 | 238名 |
合格率 | 20.2% |
平成29年度に、フォーサイトの社会保険労務士講座(「社会保険労務士 バリューセット1」と表示されていましたが)の受講生の中で、教育訓練給付制度を利用した人は結局、1,176名が受験しています。
その結果、合格者が合計で238名誕生しました。
238÷1176=0.202381…
間違いなく、約20.2%になりますね!
※ちなみに、フォーサイトは以前から合格者の人数や合格率を毎回必ず公開していた数少ない通信講座でした。
フォーサイトの公式プレスリリースによると、
第49回(平成29年度)社会保険労務士試験の解答速報および講評動画を公開
2016年度 第48回試験「社会保険労務士試験」のフォーサイト受講生合格率は17.2%、
全国平均合格率4.4%の3.91倍の合格率でした。(自社アンケート調査による)
17.2%と20.2%。フォーサイトの合格率には、公式の情報もハローワークの情報も、あまり差が出ていません。これは、フォーサイトが常日頃からデータを偽らずに公表してきたことの裏付けと解釈できますね(教育訓練給付金制度の受講生の合格率が、多少高かったことになります)。
それにこの年度の全国合格率が、4.4%だったことを考えると、教育訓練給付金を使っている・いないにかかわらずフォーサイトではかなりの合格水準を達成していたものと評価せざるを得ないでしょう。
さて、ハローワークの検索システムの使い方はこれでじゅうぶんにご理解いただけたのではないでしょうか? フォーサイト以外にも、数社分のデータが公開されているわけですから、ぜひ比較をやってみてください。
教育訓練給付制度を利用して社会保険労務士通信講座の合格率を追求する際の、忘れちゃいけない注意点!
とても便利な、ハローワークのシステムを利用した合格率の確認方法ですが……誤解しない方が良い点はいろいろと出てきますね。
1.時期によって、検出できる情報に大きな違いが出てくる
今回は、平成29年度の情報しか表示できませんでしたが、3年度分のデータを最大で確認できるチャンスがあります。
2.そのほかにも、調査できる範囲に限界がある
いうまでもないことですが、教育訓練給付金制度を用いていない通信講座会社のデータを見ることはできません。
また、あくまでも教育訓練給付金制度を受けた受講生のデータに限られます。その講座の受講生全体の合格率ではないことを、誤解しないように(特に、周囲の人に伝えるときは、誤解が生じやすいですね)!
3.「受講終了者数」「資格受講者数」「受験率」の違いに注意する
・「受講終了者数」とは?
→その講座を、教育訓練給付金制度を利用しながら最後まで受講した人の数
・「資格受講者数」とは?
→社会保険労務士試験を実際に受けた人の数
・「受験率」とは?
→「資格受講者数」を、「受講終了者数」で割った結果
(講座を受けたからといって、試験を必ず受けに行くとは限りません。
勉強を途中であきらめずに、試験日まで続けて受験からも逃げなかった人の割合でもあります)
4.通学講座にも応用できる
ただし、通学講座の場合は「地域」を指定する必要があります。これは、学校の場合は校舎の場所等によって、受講生の結果が分けられるためです。
したがって、同じ年に同じ通学講座および教育訓練給付金制度を受けた場合でも、地域によって合格率が大きく分かれてしまうことがあります。
さて、いかがでしょうか?
教育訓練給付金制度を使える通信講座・通学講座に限り、合格率を客観的に確認できるチャンスがあるわけです。
この仕組みを使ってできることは?
以上となりますね。
時間があるときに、ぜひこの便利なシステムを使いまくって、興味のある社会保険労務士の通信講座・通学講座の合格率を徹底調査することをおすすめします。
社会保険労務士の通信講座を選ぶなら、合格率もきちんと考慮しないと後悔します!
社会保険労務士の通信講座は、毎年の合格人数・合格率を目にする機会がめったにありません。しかしこれから申し込みたいのであれば、なるべく合格率のデータも集めたほうが安全ですね。
講座側の情報も、なるべく確認するべきですし、それが終わったら教育訓練給付金制度の検索システムを用いて、外部の合格率データも確かめるに越したことはないでしょう。